一
味つけは、塩を基本に
たれで覆ってしまえば、どの魚も同じ味になります。素材の違いがわかるように、まずは塩で。醤油や味噌を使うのは、そのほうが合う食材だけです。

くべるは、炭火焼きの店です。
料理の修業を始めたころ、最初に任されたのが、焼き場の炭の番でした。火を起こし、炭を足し、灰をならす。料理に触れない日が一年ほど続きましたが、いま思えば、あれがいちばんの勉強でした。
炭は、急かしても言うことを聞きません。魚の厚み、野菜の水分、その日の湿り気。相手に合わせて、足して、離して、待つ。店の名前は、その仕事からもらいました。
派手なことはしません。北海道の魚と野菜を、いちばんおいしい焼き加減でお出しする。それだけを、毎日やっています。
店主
一
たれで覆ってしまえば、どの魚も同じ味になります。素材の違いがわかるように、まずは塩で。醤油や味噌を使うのは、そのほうが合う食材だけです。
二
焼きものには、二十分ほどかかります。作り置きはしません。お待ちいただくあいだは、お造りや一品と、お酒でおつなぎください。
三
入らなかった魚は、品書きから消します。代わりに、その日に良かったものを黒板に書きます。いつ来ても同じ、ではない店でありたいと思っています。
使っているのは、道産のナラ炭です。火持ちがよく、香りがおだやかで、食材の味を邪魔しません。
開店の二時間前に火を起こし、営業中は三十分ごとに炭を足します。焼き台の前のカウンター席では、炭のはぜる小さな音が聞こえます。
